税務相談室
※法改正により、内容が変更になっている場合があります。
平成21年6月15日発行

見直しが求められる不動産管理会社

(第33号)

管理料が危ない!

管理料方式のしくみ 不動産賃貸業を会社経営にしている人の中には身内で作った会社に管理料を支払い、これを給料の形で身内に分配している人もいるのではないかと思います。
このような会社の活かし方を管理料方式と言いますが、税務行政の最前線ではこの方式を利用した節税策に黄信号が灯っていることをご存知でしょうか。
その震源となったのは、管理業務を外部に委託している納税者が身内の会社に重ねて支払った管理料の是非をめぐって税務署と争った事件で、国税不服審判所が平成18年6月に下した裁決です。
"管理業務を外部に委託している"という点では同じ立場にある読者にとってこの裁決は注目すべき先決事例になるのではないかと思います。 不動産賃貸業を会社経営にしている人の中には身内で作った会社に管理料を支払い、これを給料の形で身内に分配している人もいるのではないかと思います。

わずか10%の管理料でも否認!

この事件は、不動産を賃貸する納税者が、賃貸収入の10%に相当する管理料を身内でつくった会社に支払い、3年間で約1,200万円を必要経費としたところその管理料は高すぎるとしてその大半を税務署が否定したため、納税者はこれを不服として審査請求に及んだものです。
ところが、その結果は納税者にとって裏目に出ました。
審判所は、身内でつくった会社は管理業務を行っていないので、そんな会社に支払った管理料は管理料ではないとして、その全額を「必要経費」に該当しないと判断したのです。
ここで、審判所が管理の実態がないと判断した理由は次のとおりです。
(1)入居者の募集や清掃等の管理業務は別の不動産会社(M社)が行っていること
(2)アパートの敷地内にはM社の看板が掲示されており身内の会社は入居者や業者との窓口になっていないこと
(3)身内の会社が管理業務を行ったことを示す経費の支出や業務記録が残されていないこと

これからの不動産管理会社

不動産所有会社方式のしくみ 管理料についてはこれまで賃貸収入の20%の範囲内であれば安全圏と考えられていましたので、その前提の下に管理会社を作った多くのオーナーにとってこの裁決は衝撃的でした。しかも、審判所が裁決の中で"管理の実態がない"と判断したいくつかの例示は、管理業務を外部に委託しているオーナーであれば誰にでも当てはまりそうなことばかりです。
以上のことを考えると、所得税あるいは相続税対策として採用されている管理料方式や転貸(一括借上げ)方式はもはや通用しないと考えるべきで、今後は、会社自らが建物等を所有する不動産所有会社方式を軸に検討する必要があるのではないかと思います。



ハッピーハウス税務相談室
税理士 坂西 史也
 
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