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相続の背景
相続人の家族構成は次の図のとおりです。 父は2億円の財産を遺して他界しました。相続人である長男は父親から受け継いだ財産を出来るだけ目減りしない形で、それも、出来るだけ分散しない形で後世に承継したいと考えております。そんな状況の中で考えられる3つの選択肢を以下に紹介しますので、それぞれの場面で税金がどう変化するかを見てください。 |
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長子相続
「一家を代表する特定の子供が一家の財産の大半を相続する。そして、次の世代の相続においてもこれを繰り返す。そんな相続パターンは今でも根強く残っています。
しかし、戦後の民主化の流れの中でつくられた現行税制の下でそんな相続を繰り返していると、相続財産は相続のたびに大きく目減りします。このケースでは2億円の財産を次の世代に引き継ぐまでに3千8百万円のコスト(相続税)がかかりました。
財産は2割弱の目減りです。 |
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妻の座を活かす
配偶者は相続財産の半分(又は1億6千万円)を相続しても相続税はかかりません。ここでは、この特典を利用して、相続財産の半分については配偶者経由で次の世代に継承します。
これで一回当たりの相続の規模は半分になりましたので、納める相続税の額は、前に比べて3割近く減少しました。このパターンが一般に採用されている節税策ではないかと思います。 |
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跳び相続
前の事例では母親の財産については長男が相続しました。
しかし、ここで長男が相続すると、この財産が孫の世代に届くまでには、長男の段階で再び課税されることになります。つまり、同じ財産が母と長男の相続で重ねて課税されることになります。そこで、母親の財産は、長男を跳越えて、孫が直接相続します。
このように孫が親の代を跳び越えて祖父母から相続することを「跳び相続」といいます。この場合、孫はそのままでは祖父母の相続人にはなれませんので、その前提として、孫は祖母との間で養子縁組を結んでおく必要があります。
これで孫は長男(父親)と祖母の両方から相続することが出来るようになります。
ところが、「跳び相続」をした孫には税法の定めにより2割増しの相続税がかかりますので、先の試算に当たってはこの割増額を折込みました。しかし、養子縁組をしたことによって相続人の数が一人増えるとともに、相続税の課税の機会を1回飛び越えました。これらによる節税効果は2割り増しのデメリットをはるかに上回ります。
さらに、この事例ではひと工夫を加えております。長男から嫁に対する相続に際しては、次の相続(嫁→孫)時における無税枠(基礎控除額)を想定して、相続財産の額を7千万に設定しました。これで、この7千万円については、長男と嫁(孫にとっては両親)の相続を経由しても、無税で孫の手に届くことになります。
以上の結果、この事例で納める税金の額は前の事例の半分以下になりました。
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