税務相談室
※法改正により、内容が変更になっている場合があります。
平成23年4月15日発行

不動産賃貸業の「法人なり」潤オつづき

(第44号)

前回の紙面で「不動産賃貸業における法人成り」について述べたところ、多くの読者から反響がありました。そこで、今回は前回に引き続き、その活かし方にスポットを当てて法人成りを解説したいと思います。


一家の税金が安くなります

所得税においては、超過累進税率といって、納税者一人当たりの『稼ぎ』が大きければ大きいほど税率が高く(最高50%)なる仕組みが採用されています。そのため、一族を代表する形で賃貸物件を相続したオーナーや、会社勤めなど他の職業に従事しているオーナーは重い税負担に苦しむことになります。
そこで、一家の収益をいったんは会社という器に入れ、これを役員報酬の形で家族に分散します。そうすれば、各人にサラリーマンの必要経費に相当する給与所得控除が認められる上に、分散された各人の所得に低い税率が適用されますので、一家の税負担は大幅に軽減します。

法人成りで経営が安定します。

マンション経営は、リスクを伴う長期大型事業ですから、できることなら、個人的な事情でこれを乱したくはありません。
ところがこれを個人事業で行うと、超過累進税率によって変動する所得税や突発的に生ずる相続税が経営資金の正常な循環を妨げ、さらに、遺産分割をめぐる争いが起きれば事業の存続すら危うくなります。
法人成りはこうした個人的事情に起因するトラブルから事業経営を解放します

マンション建築後の相続税対策として

よく、「マンションを建てれば相続税対策になる」といわれますが、その効果があるのは、借金の額がマンションの評価額を上回っている間だけで、この状態が逆転すれば、今度は長生きすればするほど相続財産が累積することになります。
そんな事態を避けるために、子や孫を株主とする会社を設立し、そこに建物(マンション)と借金を移します。 そうすれば、マンション経営から生ずる果実は子や孫の財産として会社に蓄積します。つまり、税負担なしに子や孫に生前贈与をしているの と同じ状態になります。

大型出費に備える

マンション経営においては、相続税の納税資金や改修工事費用など、ときとして大きな出費を伴います。これを個人で準備しようとしても、超過累進税率を採用する個人税制の下では、経営規模が大きければ大きいほど税負担が重くなり、その余裕が生まれません。
そこで、これを会社税制の下で行えば、平坦かつ中小企業向けの軽減税率が用意されておりますので、効率よく計画的にこれを行うことができます。
さらに、生命保険や共済制度を利用すれば、掛金の半分あるいは全額を会社の損金にすることができますので、さらに有利になります。
次に問題になるのは、こうして会社で蓄積した財産を、どんな形で、個人的な出費である相続税の納税資金に回すかです。
それは、遺族に対する死亡退職金や弔慰金、あるいは、相続財産の買い取りという方法で行います。詳細は前回の紙面に紹介しましたので、これをご参照ください。

最後に

法人成りのやり方は個別のケースによって異なります。相談室では、ご希望の方に法人成りのモデルケースを作成し、その効果を試算します。どうぞご利用ください。



ハッピーハウス税務相談室
税理士 坂西 史也
 
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