税務相談室
※法改正により、内容が変更になっている場合があります。
平成23年6月15日発行

誰の名前で投資するか

(第45号)

賃貸経営は高額かつ長期の投資を伴うため、これを誰の名義で行うかは、家族にとっても税金の面においても運命の分岐点になります。今回は、投資名義人を、自分(仮に「父親」と呼びます)、家族(仮に「子供」と呼びます)、会社にした場合、それぞれ税金の扱いにどんな違いが出るかを考えてみます。


父親を名義人にすると

所得税や相続税の計算においては、課税の対象となる富や蓄積を個人別に集計し、その額に応じて累進税率を適用するため、これが特定の人に集中すると税負担はとたんに重くなります。
ところが、相続税評価においては、貸家は実際の建築価額より4割ほど低く評価しますので、貸家を取得して日が浅いうち、つまり、借金の返済や財産の蓄積が進んでいない時期に相続が開始すると、相続税がかからないケースも出てきます。 そのときには、子供をとばして孫が相続すること(これを「とび相続」といいます)を考えてください。孫が相続する場合、通常であれば、相続税は2割増しになります。しかし、もともと相続税がかからないのであればその不利益はありませんので、とび相続をして、ひと世代分の相続税を節約してはいかがでしょうか。
ただし、子供(孫の親)が生存している場合、孫はそのままでは相続人になれませんので、この恩恵を受けるためには、あらかじめ孫を養子にするか、遺贈の手続き(遺言書の作成)をしておく必要があります。

子を名義人にすると

稼ぎが分散しますので所得税はかなり軽減されます。しかし、相続税の面では、たとえ父親が子供の借金の連帯保証人になったとしてもその保証債務は相続債務とは見られませんので、節税効果はありません。
ここで注意していただきたいことは、貸家の所有者である子供がその敷地の所有者である父親に支払う地代についてです。「子供も貸家業を営むようになったのだから、せめて地代ぐらい」と考えがちですが、息子がこれを支払うと(固定資産税相当額程度なら構いません)、たとえ身内間であったとしても、いや、身内間であればこそ、建物を建てさせる『権利』、つまり「借地権」を子供に無償で与えたとして贈与税の問題が生じます。借地権の価額は土地の価額の3~5割程度になりますので、ここで贈与が認定されたら大変なことになります。そこで、やはり地代は無償ということになりますが、そうすると、その土地は実際に貸家が立っていても更地(空き地)とみなされ、貸家が立っている土地(貸家建付地)より12~15%程度高く評価されます。そこがこのケースのデメリットです。

会社名義で建てる

会社を貸家の名義人にすると、収益は会社と、給与の支払いを通じて複数の家族に分散することができますので、稼ぎに対する税金はかなり節約することができます。また、先の事例では借地権の問題が生じましたが、会社が借地人になるときは、会社と敷地の所有者である父親が連名で「借地権の無償返還に関する届出書」を税務署に提出することによって、借地権の問題を解消することができます。この届出書は、「賃貸借契約を終了して借地を父親に返還するときには、会社はその代償をオーナーに求めません」という、いわば念書のようなものです。
ありがたいことにこの届出書には副次的な効果があって、届出対象の土地については相続税評価額が2割引になります。この割引部分は借地権として会社に帰属することになり、その分会社の株価は高くなりますので、敷地の評価減の恩恵を受けるためには、あらかじめ父親を株主から外しておく必要があります。



ハッピーハウス税務相談室
税理士 坂西 史也
 
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