税務相談室
※法改正により、内容が変更になっている場合があります。
平成26年2月15日発行

相続税法の改正

(第61号)

基礎控除の引き下げ

平成25年度の税制改正で相続税の基礎控除の額が大きく縮減され、この改正はいよいよ来年、平成27年の1月1日以降に開始する相続から適用されます。

基礎控除は相続税の申告が必要かどうかを判定するボーダーラインであり、遺産の総額がこの基礎控除の額を超えていれば相続税の申告が必要になります。

これまで相続税の申告を必要とする人の割合は、亡くなられた方100人のうち4人程度でしたが、今回の改正で、その数は1.5倍から2倍に増えると言われています。

改正の内容

それでは、次に基礎控除がどのように改正されたのか、その内容を見てみましょう。

税務資料1

基礎控除額の計算式

(改正前)
5千万円+1千万円×法定相続人の数

(改正後)
3千万円+6百万円×法定相続人の数

計算式の数字を見てください。 5千万円が3千万円に、1千万円が6百万円にそれぞれが40%カットされました。

相続人が配偶者と子供二人(法定相続人が3人)の場合をこの計算式に当てはめると、 基礎控除の額は、改正前が8千万円、改正後が4千8百万円になります。

ここまでボーダーラインが下がると「都会地で一軒家を持つだけで相続税がかかる。」そんなことになるかもしれません。

増税の見返りに

そんな事態を想定してか今回の改正に合わせて、居住用の宅地に関する減額特例が拡充されました。

この特例は、亡くなられた方が住んでいた宅地を一定の条件にあてはまる人が相続した場合、その宅地の『一定面積』までの部分について評価額を8割引きにすることができるという制度です。

今回の改正で、その『一定面積』がこれまでの240m²から330m²に拡張されています。330m²と言えば約100坪です。

これだけの面積の8割までの部分が相続税の計算に際して「相続しなかった!」と見てもらえるわけですから、「自宅を相続しただけで相続税がかかる。」と心配する人の大半がこれで救われるのではないかと思います。ただし、この特例を使うかどうかは納税者の判断です。その恩恵を受ける為には、まずはこんな特例があることを知っておく必要があります。

賢い減額特例の選択

このような減額特例は、「居住用宅地」の他に「事業用」あるいは「貸付用」の宅地についても設けられています。 このうちどの種類の宅地にどれだけ減額特例を使うかは納税者の選択に任されています。

今回の改正で、居住用と事業用の宅地については双方を同時に減額特例を使うことが出来るようになり、 居住用と事業用の二つを合わせると合計70m²までの部分の宅地について8割引きの特例を受けることが出来るようになりました。

ところが、残念なことに貸付用の宅地については今回の改正の対象外になっています。そのため、貸付用の宅地について減額特例をフルに使うと、 事業用あるいは居住用の宅地についていは特例が全く使えなくなります。

貸付地の減額特例は限度面積が200m²・割引率が5割でしかありませんので、 遺産の中に貸付地と居住用または事業用の宅地が混在する時は、貸付地の評価単価がよほど高くない限り、 まずは居住用または事業用の宅地について減額特例を適用した方が有利になります。




ハッピーハウス税務相談室
税理士 坂西 史也
 
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