税務相談室
※法改正により、内容が変更になっている場合があります。
平成28年4月15日発行

オーナーが認知症になったとき(贈与税の話)

(第74号)

オーナーは死ぬまで現役だが、財産を抱えたまま認知症になる危険性もある。今回は、そんな状況の中でご主人に代わってマンションを処分した奥さんに、贈与税の問題が浮上した話だ。

財産を処分できない!

奥さんがマンションの売却を決意したとき、ご主人は人前で署名することすらできない状況だったので、奥さんがご主人に代わってこれに対処することになった。但し、奥さんはそのままでは売主になれないので、売買に先だって、ご主人から贈与を受ける形でこの売却予定物件の名義人(所有者)になっていた。
この話を顧問の税理士にしたところ「とんでもない贈与税がかかりますよ。」と言われて、相談室の門をたたいた。

登記簿を見れば贈与

不動産登記簿を見る限り「奥さんは贈与により権利を取得した。」と記録されているので、税務署としてはこれを本人に確認しなければならない。そこで、相談室は次の二点を手当して、あとは当局の出方を待つことにした。

  1. マンションの売却については、ご主人の名前で申告すること。
  2. その売却代金はすべてご主人の預金口座に入金し、お二人の生活費はそこから引き出すこと。

税務署から「お尋ね」が!

確定申告のシーズンが過ぎると、税務署からオーナー宅に「お尋ね」が届いた。贈与があったにもかかわらず申告していないのはなぜなのか?というものであった。質問があることは予測していたので、シナリオに沿って回答したところ、なんのご沙汰もなかった。 もし、奥さんが売却代金を自分のものとして申告し、自分の口座に残したままであったら、おそらく、贈与税の課税は避けられなかったのでないかと思う。




ハッピーハウス税務相談室
税理士 坂西 史也
 
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