税務相談室
※法改正により、内容が変更になっている場合があります。
平成28年12月15日発行

子供が家を建てる親がお金を出したとき

(第78号)

前回は子供が親の土地に家を建てるときのことを書きました。今回は、子や孫がマイホームを取得するに際して、親や祖父母がお金を出したときのことを書きます。

住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税制度

年間に受けた贈与の額が基礎控除の額(110万円)を超えると贈与税の申告が必要になります。ところが、子や孫のマイホーム取得(建築、購入、増改築)に、親や祖父母からお金を出してもらった場合、一定の条件を満たせば、下の表[表1]に掲げる金額までの贈与については非課税になります。
[表1]を見ると、時期が先になればなるほど非課税の枠が小さくなっています。つまり、「良質な住宅をできるだけ早く」というのがこの制度の趣旨なのでしょう。
ところで、ここでいう時期というのは、「住宅を取得するために契約を結んだ時期」です。次の章で問題にしているのは「贈与の時期」ですので、これを区別して読んでいただければ幸いです。

水の泡にしないために

「非課税制度」を受けるためには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅の完成引渡しを受け、かつ、遅滞なくそこに入居する必要があります。
たとえば、年末近くになって契約手付金に充てるための贈与をすると翌年3月15日までに工事が間に合わない心配があります。このような場合は、年内の贈与を中止し、来年の贈与(完成引渡し時に行われる最終の代金に充てるための贈与)に切り替えればよいのです。

相続時精算課税制度との優位順位

住宅取得資金の贈与を受けた場合、当面の贈与税を回避するもう一つの方法として、相続時精算課税制度があります。
この制度は、贈与税のかからない範囲が2500万円までと一見魅力的ですが、この制度をいったん選択すると、[1]他の制度に戻すことができなくなる(その贈与をした人との関係に限ります。)、[2]その贈与をした人が亡くなった時点でそれまで受けた贈与財産は亡くなった人の相続財産として課税される、などのデメリットがあります。
したがって、住宅取得資金の贈与を受けたときには、まずは先に述べた「非課税制度」を、次に、110万円の基礎控除を、そして最後にこの相続時精算課税制度を使うのが得策ではないかと思います。




ハッピーハウス税務相談室
税理士 坂西 史也
 
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